新潟県立加茂病院 新潟県立加茂病院

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院長あいさつ

 今年は、上越市、新潟市とも観測史上最も早い時期に桜の開花が宣言されました。春の陽気を感じるのは大変気持ち好いものですが、三寒四温の早春が短くなってしまったような気がして、ちょっと寂しくも感じます。

さて現在、済生会新潟県央基幹病院の整備をはじめ、県立加茂病院や県立吉田病院の指定管理への移行準備等、県央医療圏域の医療再編がすすめられています。なぜ医療再編が必要なのでしょうか。そして、今後どのような医療提供体制に変わるのでしょうか。県央地域の医療体制の現状と構想についてご説明します。

 

1.県央地域における地域医療の現状と課題

医療ニーズの変化

新潟県をはじめ全国で少子高齢化が急速に進展しており、将来の人口構造が大きく変化することが予想されています。2025年には、いわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上となり、4人に1人が75 歳以上の後期高齢者となる「超高齢化社会」に突入します。医療や介護を必要とする方が増加し、疾病構造にも変化が生じることから、将来の人口構造に応じた医療提供体制の再構築が必要です。また、少子化の進行により1564歳の生産年齢人口がさらに減少することが予想されており、医療や介護を支える側の人材確保がより一層難しくなります。このような人口構造の変化に対応し、住民が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしをずっと続けることができるように、2025年以降も見据えながら、地域に密着した医療や介護の提供体制を整備することが必要とされています。

 

県央地域のぜい弱な救急医療体制

県央地域では年間約8,000件の救急搬送がありますが、このうち約25%が新潟市や長岡市などの県央地域外へ搬送されており、救急搬送時間が長時間化しています。地域外に搬送されるのは、特定の疾患だけではなく、あらゆる領域の疾患が含まれ、重症度も重症から中等症、軽症も含まれています。県央では中小規模の病院が多数存立し、医師が分散したことや、常勤医師の減少、高齢化等から、救急車の受入縮小・困難となったことが主な原因です。加茂病院も常勤医師数が徐々に減ってきており、対応可能な専門診療科も限られるため、全ての救急要請に応じることは困難な状況です。

 

2.医療再編後の加茂病院の役割と機能

様々な疾患にいつでも対応できる救急医療、増加する高齢者医療、これらの医療需要を各病院が個別に対応するのは困難です。医師数や看護師数が不足しており、医療機器や病床数などの設備も一つの病院では限りがあるからです。限られた医療資源を最大限に活用し、必要な医療サービスを提供するには、県央地域内の各病院が役割を分担、連携する医療再編が必要なのです。

 

済生会新潟県央基幹病院の役割

現在整備中の済生会新潟県央基幹病院は、「地域で高度な医療を支える柱となる病院」として、令和631日に開院予定です。主に救急医療や高度・専門的な手術・外来が必要となった時に、質の高い医療を提供します。特に救急機能を強化し、24時間、365日、さまざまな重症度・疾患の救急を受入れられるER救急体制の構築を目指しています。

 

加茂病院の役割

医療再編後の加茂病院は、主に慢性期・回復期の疾患を対象とする高齢者医療の中心的役割を担う地域密着型病院になります。県央地域では県立吉田病院と済生会三条病院も同じ役割を担います。これらの病院は以下のような機能を持ちます。

・高齢者を中心に様々な疾患・病状の入院需要に対応した病棟機能

・現状の診療科目を基本とした地域に必要な外来機能

・地元市町村、診療所、介護施設等と連携・協働し、地域包括ケアシステムの構築や住民の健康づくりに積極的に参画

加茂病院の運営に関しては、より効果的・効率的な運営や利用者サービスの向上を図るため指定管理者制を採用し、公設民営化されます。指定管理者には医療法人崇徳会(すとくかい)が指定されました。崇徳会は長岡西病院や田宮病院、多くの老健・介護施設を運営しており、民間で培われた豊富な経験やノウハウを活かし、地域密着型病院に適した運営が期待されます。緩和ケア病棟も維持・運営される予定です。県は設置者として方針を明示し、運営状況をモニタリングしていきます。

 

済生会新潟県央基幹病院と加茂病院との連携

地域の中核病院である県央基幹病院と加茂病院をはじめとした地域密着型病院がそれぞれ役割を分担し、機能を相互に補完することによって、急性期から慢性期・回復期まで必要な医療サービスを県央地域内で受けられるような体制作りをすすめています。具体的には、県央基幹病院で救急医療、急性期疾患の診療・手術などを受け、症状が落ち着いた後に加茂病院に転院していただき、亜急性期・慢性期・回復期診療、リハビリなどを受けていただくといった病院間の連携を想定しており、県央地域内で途切れることのない医療提供体制を構築していきます。(図)

また、加茂病院では、かかりつけ患者さんの急変時対応や、軽症の方を中心とした平日日中の救急を受け入れる考えですが、重症度の高い方や夜間休日の救急は県央基幹病院で受け入れることになります。

終わりに

加茂病院は、医療再編後も地域密着型病院として地域の皆様が安心して暮らせる医療環境を整え、健康寿命の延伸に貢献してまいります。どうぞ今後とも、加茂病院へのご理解、ご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。


 2023年4月 院長 川合 弘一



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川合 弘一

院長 川合 弘一

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